飲酒量を減らすか、飲まないことが健康への近道

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アルコールを控えめにすることで健康的な生活が送れる

これまで適度な飲酒には心臓の健康効果があると考えられてきましたが、最新の研究によってその効果は疑問視されつつあります。むしろ、アルコールと200以上の健康問題との関連が明らかになってきているとABCニュースが報じました。

https://abcnews.go.com/Lifestyle/wireStory/alcohol-path-health-109747562

アルコールが及ぼす健康への影響

アルコールは神経を麻痺させ、記憶力の低下や呼吸麻痺、さまざまな健康問題を引き起こします。

過剰な飲酒は肝臓障害、膵炎、糖尿病、心臓病、高血圧、消化器疾患、精神的な問題などのリスクを高めます。

妊婦や授乳婦は胎児や乳児への影響に十分注意が必要で、未成年者は低いアルコール分解能力と影響の大きさから飲酒が禁止されています。

適度な飲酒の健康効果は疑問視されている

これまでの研究では、適度な飲酒に心臓の健康効果があるとされてきました。

しかし、より良い研究手法によってその効果は否定されつつあります。

適度な飲酒をする人は教育水準が高く、収入も高く、医療アクセスも良いなど、健康的な生活習慣を持つ傾向があり、これらの要因が健康効果を生み出していた可能性があるということです。

また、若年層の死亡者数が多いことから、中年以降まで生き残った適度飲酒者のみを対象とした研究では、健康効果が過大評価されていた可能性があります。

さらに、遺伝的にアルコールを嫌う人は心臓病リスクが低いという研究結果も、アルコールの健康効果を疑わせる証拠となっています。

アルコール摂取量の見直し

このような新しい知見を受けて、多くの国でアルコール摂取量の推奨が引き下げられています。

例えば、イギリス、フランス、デンマーク、オランダ、オーストラリアなどが最近、新しい証拠に基づいて推奨量を下げました。

また、アイルランドでは2026年から、アルコール製品にがん警告ラベルの表示が義務化されます。

アイルランドで警告ラベル表示を義務付け

アイルランドは2026年1月からアルコール飲料すべてにがん警告ラベルの表示を義務付ける法案を可決しました。これは世界で初めての試みです。

具体的には、アルコール飲料のラベルに「アルコールと連関するがんのリスクがあります」と明記することが義務付けられます。ワイン、ビール、蒸留酒など、すべてのアルコール飲料に適用されます。

この規制の目的は、飲酒とがんのリスクの関連性について消費者に警告し、啓発することにあります。世界保健機関(WHO)によると、口腔がん、咽頭がん、食道がん、大腸がん、肝がんなどの発症リスクが飲酒量に比例して高まるとされています。

アイルランドでは以前から、アルコール摂取量削減のための様々な対策が取られてきましたが、今回の警告ラベル義務化はそうした流れの一環であり、国民の健康被害防止を目指した前例のない取り組みとなります。

ただし、この規制に対しては酒造メーカーから反対の声も上がっており、表示義務化までに紆余曲折があるかもしれません。実施に向けて、さらなる議論が予想されます。

一方で、「Dry January(ドライ・ジャニュアリー:1月の1ヶ月間禁酒をする)」や「Sober October」など、アルコール控えめの文化的な機運も高まっています。28歳のテサ・ウェーバーさんは、Dry Januaryを経験し、アルコールが不安を増大させることに気づき、その後も断酒を続けています。

用語解説

2012年にイギリスの慈善団体Alcohol Change UKによって始められた取り組みです。Alcohol Change UKは、「31日間アルコールを断つことで、二日酔いをなくし、ウエストラインを細くし、お金を節約しよう」という目的で、Dry Januaryを提唱しました。

10月の1か月間、アルコールを控える取り組みのことです。
1年の中で一時的に禁酒することで、アルコールに対する意識を高め、健康的な生活習慣を身につけることを目的としています。「Dry January」と並んで広がりを見せている取り組みで、アルコール控えめの生活を実践する機会を提供しています。

若い世代のほうが節酒を受け入れやすい傾向

記事の中で28歳のテッサ・ウェーバー氏は、『私の年代の人はずっと受け入れ易くなっています』と語っています。

また、ノンアルコールカクテルの流行や、「ドライジャンアリー」「ソーバーオクトーバー」など、節酒を後押しする文化的傾向があることも記載されています。

若い世代が節酒に前向きな理由として、記事では健康への懸念が挙げられています。

ウェーバー氏自身、「アルコールが不安を増大させることに気づいた」ため節酒を始めたと語っています。

一方で、高齢層については具体的な記述はありませんが、過去の不完全な研究では適度の飲酒が心臓に良いと誤解されていた可能性があると指摘されています。

つまり、より正確な最新の研究結果を踏まえると、若年層の方が飲酒の健康リスクを受け止めやすく、節酒を選択する傾向が強いと考えられます。

健康のためにアルコールを控えめに

科学的な合意として、アルコールと200以上の健康問題(がん、心血管疾患、事故など)との関連が示されています。

https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/health/demerit.html

政府の食事摂取基準では、男性は1日2杯以下、女性は1杯以下と推奨されています。

健康を考えるなら、アルコールを控えめにすることが最良の選択肢といえます。

日本人はアルコールに弱い

アルコールの分解過程で生成されるアセトアルデヒドは、悪酔いの原因となります。

日本人の半数近くがアセトアルデヒドを素早く分解する酵素ALDH2を持っていないため、アルコールの影響を受けやすい傾向にあります。

まとめ

これまで適度な飲酒には健康効果があると考えられてきましたが、最新の研究によってその効果は疑問視されつつあります。

むしろ、アルコールと多くの健康問題との関連が明らかになっています。

健康的な生活を送るためには、アルコールを控えめにすることが重要です。政府の推奨量を参考に、無理のない範囲でアルコール摂取を減らしていくことをおすすめします。

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