先延ばしを理解し、乗り越える鍵[大学生・高校生向け] TEDトーク「Self Worth Theory: The Key to Understanding & Overcoming Procrastination」を観た感想

プリンストン大学で行われたNic Voge氏の講演「Self Worth Theory: The Key to Understanding & Overcoming Procrastination」では、自己価値理論に焦点を当てています。私たちはなぜ先延ばしをしてしまうのか?どうすればそれを乗り越えられるのか?
大学で行われたものなので、主に大学生(優秀な生徒が多く集まる学校)を対象とした話になっていますが、社会人や高校生にも響く内容です。
Nic Voge氏の主張は主に下記のとおりです。
先延ばしには、深い心理的な理由がある
もし、仕事や勉強を先延ばしにして、失敗してしまったとしても、それは自分の能力や努力不足ではなく、単に忙しかったり、気が散ったりして、十分な時間を確保できなかったからだと、自分を納得させることができる。先延ばしは、自分を守るための手段なのです。
先延ばしを克服するには
先延ばしをする理由を理解することが大切
- 自分に自信がないのか
- 失敗を恐れているのか
- 自分を守るための手段なのか
それらの理由に対処するための対策
- 自分に自信が持てない人は、まずは簡単な仕事から取り組んで、成功体験を積み重ねましょう。
- 失敗を恐れている人は、失敗しても大丈夫だと自分に言い聞かせましょう。
- 自分を守るための手段として先延ばしをしている人は、失敗を恐れずに、チャレンジする勇気を持ちましょう。
では、詳しく説明していきます。
先延ばしにつながる環境について
プリンストン大学や似たような境遇の大学のような環境では、何が先延ばしにつながるのでしょうか?
- 厳しい選抜と競争的な評価環境:
- これらの大学は非常に厳しい選抜プロセスを実施しています。入学試験や面接で競争力を評価されるため、学生は自分自身をアピールする必要があります。
- また、成績や評価は限られているため、多くの人が高い評価を得たいと考えます。その結果、自己価値を守ろうとする傾向があります。
- 報酬と評価への欲望:
- 多くの場合、報酬や評価は限られています。期待できる以上に多くの人が成功を追求します。
- このような状況下では、人々は自分自身を守ろうとします。
- 先延ばしの罠:
- 学業や仕事において、先延ばしは誰もが経験したことがあることです。
- 疲労感やストレスから「今日はもう無理だ」と思って休むことがあります。しかし、その結果、タスクが後回しにされてしまいます。
- ToDoリストから削除する満足感:
- 一部の人々はToDoリストからタスクを削除することで満足感を得る傾向があります。これは「終わらせなければまずい」というプレッシャーから来ています。
このような力学が先延ばし行動を引き起こす要因です。私たちは自己管理や時間管理の観点からこれらの要因に注意することで、効率的にタスクを達成できるよう努力すべきです。
自己価値理論で見る学習動機
自己価値理論とは、アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローによって提唱された理論です。この理論によると、人間には、自己を価値ある存在として認識したいという欲求(自己価値の欲求)があると考えられています。この欲求を満たすためには、自分自身や他人から有能で能力があると認められなければなりません。
例えば、あなたが学生だとします。学校で良い成績を収めるために勉強を頑張るのは、なぜでしょうか?それは、自分自身や他人から頭がいいと思われたいからです。頭がいいと思われることで、自分は価値ある存在だと感じることができます。
このように、自己価値理論では、学習動機は、自分自身や他人から有能で能力があると認められたいという欲求に基づいていると考えられています。
自己価値理論の応用
自己価値理論は、学習指導やカウンセリングなどの場面で応用することができます。例えば、学習意欲が低下している学生に対して、自己価値の欲求を満たすためのサポートを行うことで、学習意欲を向上させることができます。
また、自己価値の欲求を満たすために、時には他の欲求を犠牲にしたり、先延ばしにしたりすることがあります。例えば、勉強のために遊ぶ時間を減らしたり、趣味を諦めたりしてしまうこともあります。このような行動は、自己価値の欲求が強すぎることが原因であると考えられます。
自己価値理論を理解することで、学習や生活における行動の意味を理解し、より適切な支援を行うことができるようになります。
自己価値を高める方法
自己価値を高めるためには、自分自身の強みや能力を認めることが大切です。また、他人からの肯定的なフィードバックを受けることも有効です。
具体的には、以下のような方法が挙げられます。
- 自分の強みや能力を書き出してみる
- 自分の目標を達成するために努力してみる
- 他人から肯定的なフィードバックを受ける機会を増やす
自己価値を高めることで、学習や生活における自信や意欲を高めることができます。
自己価値を下げたくないという心理が働いている
先延ばしには、さまざまな原因が考えられますが、その一つに自己価値への影響が考えられています。
自己価値とは、自分自身を価値ある存在として認識する感覚です。人は誰でも、自分自身を価値ある存在として認められたいという欲求を持っています。
自己価値理論によると、人は自分のパフォーマンスを自分の能力の指標として捉える傾向があります。つまり、良いパフォーマンスを上げると、自分は能力があると評価され、自己価値が高まります。逆に、悪いパフォーマンスを上げると、自分は能力がないと評価され、自己価値が低下します。
この考え方を先延ばしに当てはめると、以下のようなことが考えられます。
- 先延ばしをすることで、失敗する可能性が高くなります。
- 失敗すると、自分は能力がないと思われ、自己価値が低下します。
- 自己価値が低下すると、先延ばしをしてしまうようになります。
つまり、先延ばしは、自分自身を価値ある存在として認めたいという欲求が強すぎることが原因であると考えられます。
先延ばしをしてしまう人は、以下のようなことを意識すると、少しずつ先延ばしを減らすことができるかもしれません。
- 失敗を恐れずに、まずは行動してみる
- 失敗しても、それは自分自身を否定するものではないことを覚えておく
- 自分の強みや能力に目を向け、自己価値を高める
先延ばしは、単なる習慣の問題ではなく、自分自身への評価の問題である可能性もあります。先延ばしを減らすことで、自分自身をより価値ある存在として認めることができるかもしれません。
具体的な対策
先延ばしを減らすための具体的な対策としては、以下のようなことが挙げられます。
- 大きな目標を小さなステップに分解する
- 期限を明確にする
- やる気を高める工夫をする
- 先延ばしをしてしまったときは、自分を責めずに、次に頑張る
また、先延ばしをしてしまう原因が、自己価値の問題であると考えられる場合は、カウンセリングなどの専門的なサポートを受けることを検討するのもよいでしょう。
成功への意欲と失敗への恐怖は、2つの異なる次元がある
心理学の世界では、成功への意欲と失敗への恐怖は、単一の次元であると考えられてきました。つまり、成功への意欲が高い人ほど、失敗への恐怖も高いと考えられてきました。
しかし、最近の研究では、成功への意欲と失敗への恐怖は、2つの異なる次元であることがわかってきました。つまり、成功への意欲が高い人でも、失敗への恐怖が低い人もいるということです。
先延ばしをする人は、成功への意欲と失敗への恐怖が両方高い
成功したいという気持ちが強い一方で、失敗するのではないかという不安が強いということです。
先延ばしは、成功への意欲と失敗への恐怖の葛藤による
成功したいという気持ちが強いために、すぐに行動に移そうとしますが、失敗するのではないかという不安によって、行動を躊躇してしまうのです。
先延ばしを減らすには、成功への意欲と失敗への恐怖のバランスをとる
成功への意欲を高めるためには、自分自身の強みや能力を認識し、目標を達成するイメージを描くことが有効です。
また、失敗への恐怖を低減するためには、失敗は人生の一部であり、必ずしも悪いことではないことを理解することが大切です。また、失敗してもそこから学び、成長できることを意識することも有効です。
具体的な対策
先延ばしを減らすための具体的な対策としては、以下のようなことが挙げられます。
- 大きな目標を小さなステップに分解する
- 期限を明確にする
- やる気を高める工夫をする
- 失敗を恐れずに行動する
先延ばしは、単なる習慣の問題ではなく、心理的な要因が大きく影響しています。先延ばしを減らすためには、成功への意欲と失敗への恐怖のバランスをとることに取り組むことが大切です。
完璧主義と先延ばし
先延ばしをする人には、完璧主義者が多いと言われています。完璧主義者とは、常に完璧を求める人です。そのため、自分自身や自分の仕事に対する高い基準を内面化しており、それを満たすために努力します。
しかし、完璧主義者の場合、その基準があまりにも高すぎるため、それを達成することは困難です。そのため、失敗するのではないかという不安から、先延ばしをしてしまうのです。
先延ばしは、自己防衛の戦略
自己価値理論によると、人は誰でも、自分自身を価値ある存在として認められたいという欲求を持っています。この欲求を満たすためには、自分自身や他人から有能で能力があると認められなければなりません。
完璧主義者の場合、自分自身を有能だと認められるために、常に完璧な結果を出さなければならないと感じています。しかし、先延ばしをすることで、失敗するリスクを減らすことができます。
つまり、先延ばしは、失敗を避けることで、自己価値を守るための自己防衛の戦略であると考えられます。
先延ばしを克服するには
先延ばしを克服するには、失敗を恐れずに行動することが大切です。失敗は、必ずしも悪いことではありません。失敗から学び、成長することで、人は成長することができます。
また、完璧主義の基準を少し下げることも有効です。完璧を目指すのは良いことですが、あまりにも高い基準を設定すると、失敗する可能性が高くなります。
具体的には、以下の方法が考えられます。
- 大きな目標を小さなステップに分解する
- 期限を明確にする
- 失敗してもそこから学ぶことを意識する
自覚を育むこと
先延ばしを克服するためには、さまざまな方法があります。その中でも、自覚を育むことが大切です。
自覚を育むとは
自覚を育むとは、自分の行動や感情を客観的に観察することです。先延ばしをしているとき、自分は何を感じ、何を考え、何に突き動かされているのかを知ることです。
自覚を育むメリット
自覚を育むことには、以下のメリットがあります。
- 先延ばしの原因を理解できる
- 先延ばしをコントロールできるようになる
- 先延ばしを減らすことができる
自覚を育む方法
自覚を育む方法には、以下のようなものがあります。
- 自分の行動を記録する
- 自分の感情を記録する
- 自分の思考を記録する
- 自分の行動や感情、思考を振り返る
先延ばしを克服するためには、自覚を育むことが大切です。自分の行動や感情を客観的に観察することで、先延ばしの原因を理解し、コントロールできるようになり、先延ばしを減らすことができます。
具体的なエクササイズ
以下に、自覚を育むための具体的なエクササイズをご紹介します。
- 行動記録
1日のうちに何をしたか、何時間か、何をしたか、誰と会ったかなどを記録します。
- 感情記録
1日のうちにどんな感情を感じたか、その感情をどのように表現したかなどを記録します。
- 思考記録
1日のうちにどんなことを考えたか、その考えをどのように評価したかなどを記録します。
これらのエクササイズを継続することで、自分の行動や感情、思考をより深く理解することができます。
回避的動機から接近的動機へ
回避的動機とは、失敗や罰を避けたいという動機です。一方、接近的動機とは、成功や報酬を得たいという動機です。
先延ばしをする人は、回避的動機が接近的動機を圧倒していることが多いのです。そのため、失敗や罰を恐れて、行動を起こすことができません。
回避的動機から接近的動機へのバランスを変えるためには、以下の方法が有効です。
- タスクのメリットを意識する
えば、勉強をすることで知識やスキルを身につけることができる、仕事で成果を出すことで評価される、といったメリットを思い浮かべましょう。
- タスクを小さく分割する
タスクが大きく、難しすぎると、失敗や罰を恐れて、行動を起こしにくくなります。そのため、タスクを小さく分割して、達成しやすいようにしましょう。
- 失敗を恐れない
失敗は誰にでも起こり得ることです。失敗を恐れすぎて行動を起こさなければ、何も成し遂げることができません。失敗を恐れずに、チャレンジすることを大切にしましょう。
先延ばしを克服する方法:頭の中にある方程式に挑戦する
多くの人は、パフォーマンス = 能力という方程式を頭の中に持っています。つまり、パフォーマンスが悪いということは、能力が低いということだと考えています。
しかし、これは必ずしも正しいわけではありません。パフォーマンスは、能力だけでなく、努力や環境など、さまざまな要因によって影響されます。
また、能力と価値はイコールではありません。能力が低いからといって、価値が低いわけではありません。
先延ばしを克服するためには、頭の中にある方程式に挑戦することが大切です。パフォーマンスが悪いことは、能力が低いことではなく、努力や環境が原因である可能性があることを理解しましょう。また、能力と価値はイコールではないことを理解しましょう。
恐れに立ち向かう
失敗を恐れるあまりに先延ばしをしていると、さらに失敗を恐れるようになってしまいます。これは、負のスパイラルを引き起こすことになり、先延ばしをさらに悪化させてしまう可能性があります。
先延ばしを克服するためには、恐れに立ち向かうことが大切です。失敗を恐れていても、行動を起こすことを決意しましょう。
ネルソン・マンデラの「あなたの選択が、あなたの希望を反映し、あなたの恐れを反映しないように」という言葉は、このことを示唆しています。
私たちは、恐れにもかかわらず、熱望するものによって動機づけられるのです。失敗を恐れていても、成功したいという希望があれば、行動を起こすことができます。
具体的には、以下の方法が有効です。
- タスクのメリットを意識する
タスクを達成することで得られるメリットを意識することで、恐れを乗り越えることができます。例えば、勉強をすることで知識やスキルを身につけることができる、仕事で成果を出すことで評価される、といったメリットを思い浮かべましょう。
- タスクを小さく分割する
タスクが大きく、難しすぎると、失敗を恐れて、行動を起こしにくくなります。そのため、タスクを小さく分割して、達成しやすいようにしましょう。
- 失敗を恐れない
失敗は誰にでも起こり得ることです。失敗を恐れすぎて行動を起こさなければ、何も成し遂げることができません。失敗を恐れずに、チャレンジすることを大切にしましょう。
愛する人、愛される人、大切にする人、気にかける人。彼らの価値は、GPAや成績表では測れません。私たちの人間的資質から生まれます。優しさや思慮深さ、そして弱点を持つことが、私たちの真の価値です。
ネルソン・マンデラは次のように言いました。「あなたの選択が、あなたの希望を反映し、あなたの恐れを反映しないように」。この言葉は接近回避動機づけ理論を示しています。私たちは恐れにもかかわらず、熱望するものによって動機づけられるべきです。
私たちが大切にする人々と共に、優しさと思いやりを持ち、自分自身を受け入れることで、真の価値を見つけることができます。
終わりに
失敗は誰にでも起こり得ることです。失敗を恐れすぎて行動を起こさなければ、何も成し遂げることができません。失敗を恐れずに、チャレンジすることを大切にしましょう。
応援しています!