評価やお金を目的に仕事をするとモチベーションが下がるのは本当か?心理学的な視点から考える

はじめに

評価やお金で仕事をすると、モチベーションが下がるというのは本当なのでしょうか?

この問いに対する答えは、一概には言えません。評価やお金は、モチベーションを高めるきっかけになることもあります。しかし、一方で、評価やお金を過度に意識すると、モチベーションが下がってしまうという研究結果もあります。

1971年に、アメリカの心理学者であるエドワード・デシとリチャード・ライアンは、幼稚園児を対象に、パズルを解く実験を行いました。

実験では、2つのグループに分けました。1つのグループにはパズルを解くと報酬を与え、もう1つのグループには報酬を与えませんでした。

実験の結果、報酬を与えられたグループは、報酬を与えられなかったグループに比べて、パズルを解く時間が短く、パズルに対する興味も低下しました。

この結果から、デシとライアンは、外発的な報酬は、内発的な動機を低下させるという「アンダーマイニング効果」を提唱しました。

アンダーマイニング効果は、その後の研究で、大人を対象とした実験でも再現されています。

例えば、2012年に、アメリカの心理学者であるマイケル・レヴィンソンらは、大学生を対象に、ゲームをプレイする実験を行いました。

実験では、2つのグループに分けました。1つのグループにはゲームをプレイすると報酬を与え、もう1つのグループには報酬を与えませんでした。

実験の結果、報酬を与えられたグループは、報酬を与えられなかったグループに比べて、ゲームに対する興味が低下しました。

これらの実験結果から、評価やお金といった動機が強すぎると、モチベーションを下げる可能性があることが示唆されています。

この記事では、心理学的な視点から、評価やお金が仕事のモチベーションにどのように影響するかを解説します。また、評価やお金だけではなく、自分自身のために仕事をすることで、仕事のモチベーションを高める方法も紹介したいと思います。

評価やお金がモチベーションに与える影響

評価やお金は、モチベーションを高めるきっかけになることがあります。例えば、昇進や給与アップを期待することで、仕事への意欲が高まるという人もいるでしょう。また、他者からの評価や承認を得ることで、自己肯定感が高まり、仕事へのやりがいを感じるようになるという人もいます。

しかし、評価やお金を過度に意識すると、モチベーションが下がってしまうという研究結果もあります。例えば、先程紹介したデシの実験では、報酬を受け取ったグループの方が、報酬を受け取らなかったグループよりも、仕事のパフォーマンスが低下したという結果が得られました。この結果は、報酬が目標達成の手段としてではなく、目的そのものになってしまうことで、モチベーションが下がってしまうことを示しています。

評価やお金以外のモチベーションの源泉

評価やお金だけではなく、自分自身のために仕事をすることで、モチベーションを高めることができます。例えば、自分のスキルや能力を磨きたい、社会に貢献したい、新しいことに挑戦したいなどの理由で仕事をすることで、やりがいを感じ、モチベーションを維持することができるでしょう。

また、仕事とプライベートのバランスをうまく保つことも、モチベーションを高めるためには大切です。仕事ばかりに集中していると、ストレスが溜まり、モチベーションが下がってしまう可能性があります。仕事とプライベートの両方を充実させることで、心身ともに健康な状態を保ち、仕事に対する意欲を維持することができます。

評価やお金は、モチベーションを高めるきっかけにはなりますが、過度に意識すると、モチベーションが下がってしまう可能性があります。評価やお金以外のモチベーションの源泉を見つけ、仕事とプライベートのバランスをうまく保つことで、仕事のモチベーションを高めていきましょう。

自分自身のために仕事をする方法

以下に、自分自身のために仕事をするための具体的な方法をいくつか紹介します。

  • 自分の目標やビジョンを明確にする

まずは、自分の仕事に対してどのような目標やビジョンを持っているのかを明確にしましょう。目標やビジョンが明確になると、仕事に取り組む意味や意義を感じることができ、モチベーションが高まります。

  • 自分の強みやスキルを活かす

自分の強みやスキルを活かして仕事をすることで、やりがいを感じることができます。また、自分の強みやスキルを磨くことで、仕事に対する自信を高め、モチベーションを維持しやすくなります。

  • 新しいことに挑戦する

新しいことに挑戦することで、成長を実感し、モチベーションを高めることができます。また、新しいことに挑戦することで、仕事の幅が広がり、仕事に対する関心や興味を維持しやすくなります。

自分の仕事に向き合ってみよう

評価やお金だけではなく、自分の仕事に向き合うことで、モチベーションを高めることができます。ぜひ、上記のヒントを参考に、自分自身のために仕事をするための方法を見つけてみてください。

外発的動機づけと内発的動機づけ

仕事のモチベーションを高めるためには、外発的動機づけと内発的動機づけを理解することが大切です。

外発的動機づけとは

外発的動機づけとは、報酬や罰則など、外部から与えられる刺激によって仕事をすることです。例えば、給与や昇進を目的として仕事をしたり、上司や同僚からの評価を気にして仕事をしたりするような場合が、外発的動機づけに当てはまります。

内発的動機づけとは

内発的動機づけとは、自分の興味や関心、達成感や充実感など、内部から湧き上がる欲求によって仕事をすることです。例えば、自分のスキルや能力を磨きたい、社会に貢献したい、新しいことに挑戦したいなどの理由で仕事をするような場合が、内発的動機づけに当てはまります。

外発的動機づけと内発的動機づけの違い

外発的動機づけと内発的動機づけには、以下の2つの大きな違いがあります。

  • 動機の源泉が異なる

外発的動機づけは、外部からの刺激によって動機づけられます。一方、内発的動機づけは、内部からの欲求によって動機づけられます。

  • 持続性や効果の違い

外発的動機づけは、短期的には効果的ですが、長期的にはモチベーションを維持するのが難しい傾向にあります。一方、内発的動機づけは、長期的にモチベーションを維持しやすい傾向にあります。

外発的動機づけと内発的動機づけのバランス

外発的動機づけと内発的動機づけは、どちらか一方が優れているわけではありません。両者をバランスよく組み合わせることで、より効果的なモチベーションの維持につながります。

例えば、外発的動機づけによって仕事を始め、内発的動機づけによって仕事を継続していくようなパターンが理想的です。

内発的動機づけを高める方法

内発的動機づけを高めるためには、以下の3つのポイントが重要です。

  • 自分の目標やビジョンを明確にする

自分の仕事に対してどのような目標やビジョンを持っているのかを明確にすることで、仕事に取り組む意味や意義を感じることができ、内発的動機づけが高まります。

  • 自分の強みやスキルを活かす

自分の強みやスキルを活かして仕事をすることで、やりがいを感じることができます。また、自分の強みやスキルを磨くことで、仕事に対する自信を高め、内発的動機づけを維持しやすくなります。

  • 新しいことに挑戦する

新しいことに挑戦することで、成長を実感し、内発的動機づけが高まります。また、新しいことに挑戦することで、仕事の幅が広がり、仕事に対する関心や興味を維持しやすくなります。

評価やお金が仕事のモチベーションに与える影響

評価やお金は、仕事のモチベーションを高めるきっかけになることもあります。しかし、評価やお金を過度に意識すると、モチベーションが下がってしまうという研究結果もあります。

評価やお金は外発的動機づけの一種である

評価やお金は、外発的動機づけの一種です。外発的動機づけとは、報酬や罰則など、外部から与えられる刺激によって仕事をすることです。

評価やお金に頼っていると、自分の仕事が本当に好きなのか、意味があるのかという疑問が生じてしまう

評価やお金に頼っていると、自分の仕事が本当に好きなのか、意味があるのかという疑問が生じてしまうことがあります。例えば、昇進や給与アップを目的として仕事をしていると、仕事が自分の興味や関心と一致していない場合、モチベーションが下がってしまう可能性があります。

評価やお金は自分の自律性や重要性を低下させる

評価やお金は自分の自律性や重要性を低下させる可能性があります。自律性とは、自分で選択したことに対する責任感やコントロール感である。重要性とは、自分の仕事が価値あるものであると感じることである。

評価やお金に頼っていると、自分の仕事は外部からの評価や承認によって価値づけられるという考えに陥ってしまうことがあります。その結果、自分の仕事に対する自律性や重要性が低下し、モチベーションが下がってしまう可能性があります。

自分自身のために仕事をすることでモチベーションを高める方法

自分自身のために仕事をすることは、内発的動機づけを高めることにつながります。内発的動機づけとは、自分の興味や関心、達成感や充実感など、内部から湧き上がる欲求によって仕事をすることです。

内発的動機づけを高めるためには、3つの要素「自律性」「重要性」「他者との関係性」を意識しながら行うと効果的です。

他者との関係性

他者との関係性とは、自分の仕事が他人に影響を与えたり、支えられたりすることで生まれるつながり感です。自分の仕事が誰かの役に立っているという実感を持つことで、仕事に対するモチベーションを高めることができます。

具体的には、自分の仕事が会社や社会にどのように貢献しているかを明確にしたり、自分の仕事に対する目標や期待値を設定し、達成したら自分で褒めたりすることで、他者との関係性を高めることができます。

例えば、営業職であれば、顧客の課題を解決することで、顧客のビジネスの成長に貢献していることを意識することで、仕事に対するモチベーションを高めることができます。また、エンジニアであれば、自分が開発したシステムが多くのユーザーに利用され、便利な生活を実現していることを意識することで、仕事に対するモチベーションを高めることができます。

このように、自分自身のために仕事をすることで、内発的動機づけを高め、仕事のモチベーションを維持することができます。

評価やお金で仕事をするとモチベーションが下がる理由は、外発的動機づけが内発的動機づけを阻害するから

評価やお金は、外発的動機づけの一種です。外発的動機づけとは、報酬や罰則など、外部から与えられる刺激によって仕事をすることです。

評価やお金に頼っていると、自分の仕事が本当に好きなのか、意味があるのかという疑問が生じてしまうことがあります。また、評価やお金は自分の自律性や重要性を低下させる可能性があります。

一方、自分自身のために仕事をすることは、内発的動機づけを高めることにつながります。内発的動機づけとは、自分の興味や関心、達成感や充実感など、内部から湧き上がる欲求によって仕事をすることです。

内発的動機づけを高めることで、仕事に対するモチベーションを維持し、仕事の楽しさや充実感を感じることができます。

自分自身のために仕事をすることで得られるメリット

自分自身のために仕事をすることで得られるメリットは、以下のとおりです。

  • 仕事に対するモチベーションが高まる
  • 仕事の楽しさや充実感を感じられる
  • 仕事のパフォーマンスが向上する
  • 仕事に対する自信が高まる

具体的なアクションプラン

自分自身のために仕事をするためには、以下のアクションプランを参考にしてみてください。

  • 自分の仕事の目標やビジョンを明確にする
  • 自分の強みやスキルを活かす
  • 新しいことに挑戦する

また、自分の仕事が会社や社会にどのように貢献しているかを明確にしたり、自分の仕事に対する目標や期待値を設定し、達成したら自分で褒めたりすることも、内発的動機づけを高める効果的な方法です。

仕事のモチベーションを高めることは、仕事のパフォーマンスを向上させるだけでなく、仕事に対する満足度や幸福度を高めることにもつながります。ぜひ、自分自身のために仕事をすることで、仕事のモチベーションを高めてみてください。

内発的動機を見つける方法については下記のページを御覧ください。

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