生産性に関する誤解や常識を覆す事実~ワークコンプレッションで効率的に仕事をこなす方法

今回は生産性向上とフロー状態の話です。
youtube「The Most Overlooked Productivity Superpower」(最も見過ごされている生産性向上)という動画を先日見ました。
フロー研究コレクティブの共同創業者兼CEOであるリアン・ドリス氏が、フロー状態を使って16時間の長時間労働を3〜6時間の超生産的な労働に変える方法を紹介するものです。
ライム病(マダニに咬まれることで感染する病気)にかかってしまった友人の話を例に挙げて、時間が生産性の主な要因ではないことを説明しています。
友人は、ライム病の影響で1日3時間しか働けなくなりましたが、その結果、重要ではないことを省き、他人に任せられることを見極めるというスキルを身につけ、以前よりも多くの仕事をこなすようになりました。
これはパーキンソンの法則の逆であると言います。パーキンソンの法則とは、仕事は与えられた時間に合わせて膨らむという法則です。
生産性は、労働時間に比例して増加するわけではないということです。
私たちの頭が生産性に関して直感に反することを受け入れられないのは、線形バイアスという認知バイアスが原因だと言います。線形バイアスとは、物事が単純で直線的な関係にあると考えてしまうことです。
今回紹介する動画のポイントは以下のとおりです。
- 過労は非生産的である
- ワークコンプレッションが生産性を高める
- 本当の休暇が重要
- 労働時間を減らす、生産量を増やす
- フロー状態に入ると、生産性が5倍になる
それでは解説して行きます。
過労の非生産性
長時間働きすぎたり、無理に働くと、生産性が低下してしまう可能性があります。過労は生産性に悪影響を与え、ストレスやパフォーマンスの低下を引き起こす可能性があることが述べています。
植物に水をやりすぎると溺れさせてしまうように、仕事もやりすぎると逆効果になる。
最大限の生産性を発揮するために必要なスキルにアクセスする唯一の方法は、自分自身を制限することだと言います。
仕事時間を減らすこと(ワークコンプレッション)が生産性を高める理由

生産性と労働時間
科学的な研究によると、労働時間が長くなれば生産性が高まるわけではない。むしろ、多く働けば働くほど、生産性は低下するそうです。
ワークコンプレッション
ワークコンプレッションとは、現在の労働時間から大幅に時間を短縮し、その設定した制限をいかなる場合でも超えないことを守る手法です。
ワークコンプレッションを実現するには、「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」を見分けることが重要です。
やるべきことは、自分の目標に近づくために必要なことです。
やらなくてもいいことは、自分の目標に関係ないか、他の人に任せられることです。
優先順位付け
やるべきことの中でも、どれが一番重要で、どれがあとまわしにできるかを考えることが重要なスキルです。これを優先順位付けと言います。
優先順位付けをすることで、自分の時間を効率的に使うことができます。効率的に時間を使うことで、生産性が向上します。生産性が向上すると、自分の目標に早く到達できるとリアン・ドリス氏は述べています。
優先順位付けを行う際には、以下の3つのポイントを押さえることが重要だと思います。
- 重要度と緊急度でタスクを分類する
タスクを重要度と緊急度で分類することで、優先順位付けをしやすくなります。重要度が高いタスクは、必ず優先して処理するようにしましょう。
- タスクにかかる時間を見積もる
タスクにかかる時間を見積もることで、スケジュールを立てやすくなります。見積もりよりも時間がかかりそうなタスクは、余裕を持ったスケジュールを立てるようにしましょう。
- タスクを小さく分割する
大きなタスクを小さく分割することで、取り組みやすくなります。また、小さく分割したタスクを完了するごとに達成感を得ることで、モチベーションを維持しやすくなります。
優先順位付けを、登山に例えてみます。
登山では、まず目的地を決めます。そして、その目的地に到達するために必要なルートを決めます。ルートを決める際には、難易度や距離などを考慮する必要があります。
優先順位付けも同様に、まず目標を決めます。そして、その目標を達成するために必要なタスクを決めます。タスクを決める際には、重要度や緊急度などを考慮する必要があります。
登山では、ルートによっては、途中で道が分岐することがあります。その際には、どのようなルートを取るのがベストなのか選ぶ必要があります。
同様に、優先順位付けでも、タスクによっては、複数の選択肢があることがあります。その際には、最も重要度の高いタスクを優先的に処理する必要があります。
登山では、途中で疲れてしまうことがあります。その際には、休憩をとることで、体力を回復する必要があります。
同様に、優先順位付けでも、タスクを処理していて、集中力が切れてしまったら、休憩をとることで、集中力を回復する必要があります。
このように、優先順位付けは、登山と同じように、目標を達成するために必要なスキルと言えるでしょう。
フロー状態

仕事時間を減らすと、重要度の認識が高まり、フロー状態に入りやすくなると言います。
重要度の認識とは、本当に重要なこととそうでないことを見分ける能力のことです。
フロー状態とは、タスクに没頭して集中力や創造性が高まる状態のことです。生産性が大幅に向上します(400〜500%)。
「仕事の難易度」対「スキル」のバランスをとる
ワークコンプレッションは、仕事の難易度とスキルのバランスに影響を与えます。仕事の難易度とスキルの最適なバランスは、仕事の難易度が自分のスキルをわずかに超えている状態です。
スキルレベルと比較して仕事の難易度が高すぎたり低すぎたりすると、不安や退屈を引き起こす可能性があります。
スキルを高めて時間を減らすことで仕事の難易度を調整すると、適切なバランスを見つけることができ、生産性が向上し、フロー状態を達成できます。
仕事の難易度とスキルのバランスは、登山に例えるとわかりやすいかもしれません。登山の難易度が自分の体力をわずかに超えている場合、挑戦しがいがあり、達成感を得ることができます。しかし、登山の難易度が高すぎると、挫折感を感じてしまうかもしれません。また、登山の難易度が低すぎると、退屈な登山になってしまうかもしれません。
ワークコンプレッションは、仕事の難易度とスキルのバランスを調整する上で有効な方法です。ワークコンプレッションを行うことで、仕事をより集中して行うことができ、フロー状態を達成しやすくなります。
回復の重要性と仕事時間を固定する方法

回復とは、フロー状態の後に必要な休息やリラックスのことです。回復ができないとフロー状態に入れなくなります。
多くの人は、常に何かをし続け、より生産的でなければならないという気持ちから、生産性の罪悪感を抱えています。
回復するためには、仕事に対する義務感や罪悪感を取り除く必要があります。仕事に対する義務感や罪悪感は、脳にストレスホルモンを分泌させて、神経系を常に緊張させます。
本当の休暇の重要性
本当の休暇とは、仕事に対する義務感を完全に一時停止し、進捗を気にしない状態です。
回復は仕事の一部という考え方です。
仕事に対する義務感や罪悪感を取り除くためには、仕事時間を固定して厳守することが効果的です。仕事時間を固定すると、仕事以外の時間には自分に対して何も求めなくなります。
仕事時間を固定すると、一貫性が高まります。一貫性とは、長期的に見て成果を出すために必要な継続性のことです。
ワークコンプレッションは、自分の現在の仕事時間の半分程度の時間を決めて、その時間内で仕事を終わらせることです。その時間外では、仕事をしないことを徹底します。そのためには、カレンダーや通知などのツールを使って自分の時間を管理します。
ワークコンプレッションのメリットと実践する方法

Rian Doris氏は生産性の向上を実現するために、特定の時間枠内で固定された就業時間を設定し、その時間を超えないようにすることを推奨しており、生産性と回復を高めるために明確な境界を設定する必要性を強調しています。
仕事時間を固定すると、マインドセットやパラダイムが変わり、問題解決能力が向上すると言います。マインドセットやパラダイムが変わるという点は、私自身も経験があります。仕事時間を固定すると、時間に対する意識が変わり、無駄な時間を減らすことができるため、より効率的に仕事を進めることができるようになります。
ワークコンプレッションで、自分に課せられた制約や苦痛が、より良い方法を見つけるきっかけになると言います。制約があることで、無駄な思考や行動を排除して、本当に重要なことに集中できるようになるからですね。
自分に課せられた制約や苦痛が、より良い方法を見つけるきっかけになることは、料理で言うところの、限られた材料で料理を作ることと似ています。限られた材料で料理を作るためには、工夫が必要になります。仕事も同様に、制約があることで、より効率的な方法やアイデアを見つけることができるようになります。
ワークコンプレッションは、自分の現在の仕事時間の半分程度の時間を決めて、その時間内で仕事を終わらせることです。その時間外では、仕事をしないことを徹底します。そのためには、カレンダーや通知などのツールを使って自分の時間を管理します。
生産性向上のための公式
「労働時間を減らす、生産量を増やす」という公式を紹介します。労働時間を減らすことで、限られた時間とリソースをより効果的に活用できるようになり、生産性が向上するという考え方を促えるとドリス氏は述べています。
ワークコンプレッションによって、重要度の認識や挑戦度とスキルのバランスが高まり、フロー状態に入りやすくなると言います。フロー状態に入ると、生産性が5倍になると述べています。
ワークコンプレッションによって、仕事以外の時間には義務感や罪悪感から解放され、回復できるようになります。回復することで、フロー状態に再び入れるようになると言います。
試行錯誤と適応
ワークコンプレッションへの移行は最初は難しく、締め切りを逃したり、一時的に生産性が低下したりする可能性があるが、これらの課題は変化や改善へのコミットメントの証であり、必要な通過儀礼として受け止めましょうとも述べています。
ワークコンプレッションは最初は難しいかもしれませんが、それはプロセスに従っている証拠で、信じて実践すれば、結果が出るでしょう。
時間を厳守することで、タスクの重要性の認識が変わり、チャレンジとスキルのバランスが良くなり、生産性が向上します。
また、決められた時間外の仕事をする必要がなくなることで、ストレスが軽減され、生産性が向上します。
終わりに
ワークコンプレッションの難しさは、以下の3つに分類できます。
- 時間の制約
ワークコンプレッションでは、現在の労働時間を半分程度に減らすため、時間の制約が厳しくなります。そのため、締め切りを逃したり、一時的に生産性が低下したりする可能性があります。
- 思考の転換
ワークコンプレッションでは、時間に追われるのではなく、限られた時間の中でいかに効率的に仕事を進めるかを考える必要があります。そのため、これまでの思考の転換が必要になります。
- 環境の変化
ワークコンプレッションでは、仕事以外の時間は仕事のことを考えないようにすることが重要です。
これらの難しさは、ワークコンプレッションを成功させるための試練であると捉えることができます。これらの試練を乗り越えることで、ワークコンプレッションのメリットを享受できるようになるのです。
ワークコンプレッションを成功させるためには
- 小さなステップから始める
ワークコンプレッションは、いきなり大幅に労働時間を減らすと、うまくいかないことがほとんどです。まずは、現在の労働時間の10%程度を減らすことから始めてみましょう。
- 適切なツールやサービスを利用する
ワークコンプレッションを実践するためには、カレンダーやタスク管理ツールなどのツールやサービスを活用するとよいでしょう。これらのツールやサービスは、ワークコンプレッションを成功させるためのサポート役として役立ちます。
- 周囲の理解を得る
ワークコンプレッションを実践するためには、周囲の理解を得ることが重要です。ワークコンプレッションの意義を説明し、協力を求めましょう。
ワークコンプレッションは、継続して取り組むことが大切です。最初は難しいかもしれませんが、信じて実践すれば、生産性や仕事の質の向上につながる可能性があります。
ワークコンプレッションの応用
私の妄想に近い話ですが、例えば、ワークコンプレッションをAIやロボットに適用することで、従来では不可能だったような生産性の向上が可能になる可能性があります。
AIやロボットに適用する
AIやロボットは、人間よりもはるかに速く、正確に仕事をすることができます。また、人間と同じように疲労やストレスを感じないため、休憩や回復の必要がありません。
ワークコンプレッションをAIやロボットに適用することで、従来は人間が担っていた仕事をAIやロボットに任せることができ、人間はより創造的な仕事や人間らしい仕事に集中することができるようになるかも知れません。
また、ワークコンプレッションを宇宙開発や医学などの分野に適用することで、新たな可能性を切り開くことができる可能性があります。
宇宙開発に適用する
宇宙開発では、宇宙空間での作業は人間にとって非常に困難です。ワークコンプレッションを適用することで、宇宙飛行士の労働時間を短縮し、より効率的に宇宙開発を進めることができる可能性があります。
医療に適用する
医学では、手術や治療は時間との勝負です。ワークコンプレッションを適用することで、医療従事者の労働時間を短縮し、患者の治療をより早く、より効果的に行うことができる可能性があります。
社会に適用する
また、ワークコンプレッションを社会全体に適用することで、ワークライフバランスの向上や、人々の幸福度の向上につながる可能性があります。
ワークコンプレッションは、生産性を向上させるための有効な方法です。しかし、誰にでも簡単に実践できる方法ではありません。まずは、小さなステップから始め、試行錯誤しながら適応していくことが大切です。