命や会社の存続すら脅かす「職場ナルシズム」の実態とは?

「上司の顔色をうかがって仕事をする」──そんな職場、あなたにも心当たりはないでしょうか?
心理学者Dr. Ramaniが語る“職場ナルシシズム”の恐ろしさは、単なるハラスメントにとどまりません。
怒鳴る、責任転嫁する、部下を分断する……そんな上司の下で働くことで、業務ミスや人命に関わる事故すら起こる可能性があるというのです。
本記事では、Dr. Ramaniが示した事例をもとに、職場に潜むナルシシストの特徴やその影響、そして社会的な反響までを詳しく解説します。
地雷原のような職場──“恐怖”が支配する日常
Dr. Ramaniが動画内で紹介した「物語」は、フィクションではあるものの、実際の職場から集めた複数の事例を合成した“現実の縮図”です。
ある部署のディレクター(部門責任者)は、常に怒りっぽく、突然怒鳴るなど情緒が不安定。
部下たちは彼の機嫌を損ねないよう日々「卵の殻の上を歩くような」緊張感の中で働いていました。
このような状況では、以下のような心理的影響が現れます:
- 睡眠障害・慢性的な疲労
- 誰が安全な味方かわからない「職場内パラノイア」
- 過剰な業務量と低リソースにより安全軽視
こうした中で、誰も責任を取りたがらず、重要なシステム修正が未対応のまま放置され、結果として大規模な情報漏洩と会社の倒産に至った……というのが、この“職場崩壊の物語”の顛末です。
これは「誰のせいか?」という問いだけで終わる問題ではなく、組織そのものが構造的にナルシシズムに蝕まれていたという重大な警告でもあります。
「辞めればいい」と簡単に言えない理由
職場が地獄のような環境であっても、「辞めればいいじゃないか」とは簡単に言えません。
Dr. Ramaniは、以下のような理由で人々が“毒職場”に留まらざるを得ないことを指摘しています:
- 家族を養うための安定収入が必要
- 小規模業界で転職がバレやすい
- 医療保険など、離職による不利益が大きすぎる
- 長年勤続したことで年金・退職金制度に依存している
特に高給職や専門職では「次がなかなか見つからない」という現実もあります。
つまり、精神的にボロボロになりながらも、“生活のために辞められない”という、まさに現代の奴隷労働とも言える構図が出来上がっているのです。
SNSに見る“職場ナルシズム”の反響
X(旧Twitter)やRedditなどのSNSでも、「#ToxicWorkplace」「#NarcissisticBoss」などのハッシュタグで検索すると、実に多くの被害者の声が寄せられています。
以下にいくつかの投稿を紹介します。
「私の上司は、自分の指示ミスでプロジェクトが破綻したのに、会議で私をスケープゴートにした。夜も眠れず、ついに休職。」(@TraumaSurvivor)
「職場で“いい顔”をしていた上司が裏で部下を分断。誰も信用できなくなった。」(@OfficeAnxiety)
これらの投稿に共通するのは、「精神的な疲弊」「対人不信」「無力感」です。
一部では「#DocumentEverything(すべて記録せよ)」というハッシュタグ運動も広がっており、これはDr. Ramaniも動画で強く推奨しています。
責任転嫁に備えるためには、日々の指示や会話を可能な限り記録に残しておく必要があるのです。
なぜナルシシストは危険なのか──心理学的視点
Dr. Ramaniは、ナルシシズム(自己愛性パーソナリティ障害)を持つ上司は「他人の安全や幸福に関心を持たない」と指摘します。
- 共感性の欠如
- 責任転嫁
- 過剰な支配欲
- 過小評価とガスライティング(心理的操作)
これらの特徴により、部下は自分の判断を信じられなくなり、結果として大きなミスや事故につながるのです。
歴史的な実例として、動画では「チェルノブイリ原発事故」が挙げられています。
あの事故も、権威主義的かつ無責任な上司が部下の警告を無視し、強引に作業を進めたことで大惨事を招いたものでした。
日本でも増える“静かな退職”と心理的離職
近年日本でも、「静かな退職(Quiet Quitting)」や「心理的離職」といった言葉が話題になっています。
これらは、外見上は勤務を続けているものの、精神的にはすでに職場から離脱している状態を指します。
背景には、以下のような問題があります:
- 上司や同僚による精神的な圧力
- 労働に見合わない報酬
- 職場文化が自己犠牲を美徳とする風潮
これらも、職場ナルシズムの一側面と捉えることができ、今後ますます注目されるべき社会課題です。
まとめ – 職場ナルシズムは“個人の問題”ではない
Dr. Ramaniが示す通り、職場におけるナルシシズムは、ただの“やっかいな人間関係”にとどまらず、業務の安全性・企業の信頼・働く人の人生すら左右する深刻な問題です。
- 「辞めることができない現実」
- 「心理的損耗が業務ミスにつながる構造」
- 「放置すれば企業崩壊すら起こり得るリスク」
このような職場に直面したとき、私たちは“耐える”だけでなく、“記録する”“共有する”“警鐘を鳴らす”ことが求められます。
そして、組織としても「人の良さ」に惑わされず、システマティックにナルシシズムに向き合う仕組みが必要なのです。